経営者の再挑戦実ログ

2021-10-19 11:05:00

事業再構築4

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目に見えないものの捉えかた

 

 

 事業の再構築を進めだして数ヶ月。なかなか前に進まない。
なかなか進まないのにはいくつかの要因がもちろんあって、一つ一つ今それを解決していかなければ事業が始まっても結局うまくいかない場合が多い。長年の経験からそういうことが骨身に染みてわかっているので、何とか解決の方法を探りながら進めていくものの、時にはどうにもならないと思うことにぶつかります。



 例えば「時間」の概念。
一日24時間は誰しも同じで、仕事ができる人は時間管理が上手いとよく言われます。それは事業の立上や物事を進めるうえでもやはり同じ。仕事ができる人の多くは、予定を立て仕事に期限を設けます。そしてそれを可視化します。特に今回のように多くの人が関わるプジェクト型の立上の場合は必須ですよね。
 ところが、これまで全て自身の頭のなかだけで考えて事業をまわしてきた社長には、自分軸の時間の概念しかないのです。だからだいたい、急遽打合せ日時を調整することになる。しかもかなりの直近でとなるとチームメンバー全員の調整は本当に大変で、早急に結論だいたいことが先に延びるか誰かが無理に調整するかになってしまうのですが、それを何とも思わない。これは結局、自分を追い込みたくない自己防衛本能なのでそう簡単には変わらない。


 計画を立て可視化して共有する…人を束ねる基本中の基本ですが、 そうするべきとわかっていても何かと理由をつけて計画を立てさせない、立てても守らない理由を見つける。社長自身がこれをやってしまうので、会議で決まったことを覆すのも日常茶飯事。一進一退どころか一進二退や、時には振出しに戻らされるこの事態、初めから目的と方法をきっちり落とし込み、計画的に進めていければ防げるのですが、これがどれほど時間の無駄遣いなのかだけでなく、どれほどチームのモチベーションをさげることになるか、本人は何もわかっていないのです。冷静で客観的な立場であるべき私も、決定事項を何度も覆されるとチームメンバーへの申し訳なさでいっぱいになり、やり切れない気持ちに押しつぶされそうになります。コンサルも人ですからね。

 



会社の経営から見える経営者の生きざま

 そんな社長とは反対に、現在私が長くおつき合いさせていただいているクライアントの皆さまは、こういうことが理解できる方たちばかり。新規事業の立上や起業の時点から企業の組織づくりに何年も関わらせていただいて、間近で成長発展していく姿を見ることができる。これがコンサルタントの仕事の醍醐味です。
この企業で描けるキャリアプランをライフプランとどうリンクさせるかというスタッフの相談にものるので、一人一人の成長が企業の成長につながっていることを実感できるこの立場。いわば経営者とスタッフの調整役でもあるのですが、中間的だからこそ感じるのは、経営者は良くも悪くも人の人生に影響を与えることができるということです。そういうことに気づいている経営者は、やはり器が大きいように感じます。

 

 時間の概念もそうですが、人それぞれの夢や希望は目に見えない大事なものです。それを尊重できる経営者かどうかで、そこに集まるスタッフが違います。
お金儲けを目的に会社を経営する社長には、同じような考えのスタッフや業者さんが集まります。企業は利益を追求するのが当りまえですが、私腹を肥やすためではなく、その利益をどう使うかという目的がとても重要。それが経営理念であり、その企業が存続する意味、意義です。これがなければ、スタッフはどこに向かって仕事をすればいいのかわかりません。極論、お金儲けを目的にすると、人を騙したり、貶めたり、不正を働くなど儲かれば何でもいいってことになります。 

 

 お金儲けを目的にしている社長にこういう話をすると、ほぼ100%の確立で
「そんなもん、やっていいこと悪いことは常識の範囲で考えたら誰でもわかるやろ!」
と、だいたい怒り気味、かぶり気味で返してくるので、これを聞くたび笑いをこらえるのに苦労します。

 

 ただ最近気づいたのは、お金儲けを目的にしている社長の多くは考えることが苦手ということです。
何をどう考え、何を軸として判断すればいいのか、人を束ねるには頭のなかで考えていることをどう整理して伝えればわかってもらえるのか、など自分を省みたり、相手の気持ちや考えを想像したりということが著しく苦手な人が多いように感じます。また、考えてもスグに答えがでないことをどう進めていけばいいのかも、仮説を立てて一つ一つ試しながら軌道修正するための仮説を立てることが恐らく苦手。それは相手の気持ちを想像する、自分ならどうだろうと考えるなどが苦手で、考えることに疲れるので、目に見えてわかりやすい「お金儲け」を目的にするところに落着くわけです。

 

 金の切れ目が縁の切れ目とはよく言ったもので、会社が傾き始めると蜘蛛の子を散らすように人は離れていきます。そんな光景も見てきているので、何とか危機を脱してほしいとこちらはアレコレ策を考えるのですが、なかなか響かない。そりゃ、そうです。これまでの自分のやり方を否定されていると感じるでしょうし、自分自身の弱さを受入れ向き合わなければいけないし、何よりまずお山の大将のプライドという鎧兜を脱がなけばいけないので簡単なことではありません。 
 特に、高齢になればなるほど難しい。頭の切り替えも、意識を変えることも、どれほど意識してもなかなできない老いという現実も受入れながらになるので、側で見ているこちらが辛くなりそうです。一応、プロなので感情移入はしませんけどね。

 


 再構築、再挑戦する経営者の姿を通して、私は常に人の人生に関わっていると思っています。
考えることが苦手でも、一生懸命に経営の目的を探しながら考えて経営してきた経営者と、目に見えてわかりやすいお金儲けに重きをおき経営の目的を考えることから逃げてきた経営者では、今のような大きな時代の変革のタイミングで道が分かれると思います。高齢になって、後継者がいないこと、片腕がいないこと、計画もなく経営してきたことをどれほど悔やんでも、どんなに逃げたくても許されない。冷たい言い方をすれば、逃げたければ逃げればいい。この世を去る瞬間にそれを後悔しないのならと心の中で呟く今日この頃。道のりはまだまだ長い。

 

今関わっている再構築を通して、理解あるクライアントと協力者に恵まれていることにあらためて気づき心から感謝です。

 

 

 

★コンサルタントeye★

 誰であれ、どんな立場であれ、考えることから逃げてはいけない時がある。
四六時中考えるのは、精神的にも体力的にもとても疲れるので、いつも何かを意識して、いつも何かを考えることはお勧めしません。なぜなら、脳の消耗が激しくなり、気力の低下や不眠の原因となることから体を使っていなくても疲れを感じてしまいます。また、脳が栄養不足に陥っている時には何かとネガティブ思考に陥りがちで、いいアイデアやポジティブな考えは浮かんでこないだけでなく、いくつかの案件を同時進行させている場合などは、思考の整理が追いつかなくなり自身の脳内の混乱だけでなく、他の人の仕事の混乱を招く原因にもなり得ます。

 このように、答えのでないこと、今答えをだせないことなどをずっと考える「考え癖」は、メンタル的な疾患につながることもあるので実はあまり良くないことなのは、すでにご存じ方も多いと思います。これまでの経験からですが、こういう考え癖のある人はいわゆる自己肯定感がちょっと低かったりすることが多く、いつも自分のだした答えに自信が持てない。経営者だってケガをすれば赤い血が流れる人間で、全員が全員、自信家で野心家で何事にも動じることなくデンと構えた器が大きいわけではない。たくさん壁にぶつかり頭も打って傷つきながら、先が約束されていないことへの不安と闘いながら経営を続けているわけです。

 

 ですが、それはどこまでいっても経営者自身の問題で、考え癖をやめるのも自己肯定感を高めるのも自分次第。お取引先やエンドユーザーであるお客様には関係のないこと。立場上、そういうタイプの人であることをわかったうえで私たちは接し説明の仕方も工夫しますが、自己肯定感が低い人は自己防衛本能が強く働くためかちょっとしたことでスグ戦闘モードのスイッチが入りがち。そうなると、感情論が先にたちまともな話ができなくなることも多々あります。
 それでも生きてはいけますし方法次第で会社経営はできますが、スタッフを育てる、後継者を育てる最大の壁となることが多いです。なにしろ、自身の考えを整理できないまま、相手かまわず話すわけですからあっちでもこっちでも混乱が生じるだけでなく、それを整理する立場の人もいなければ指揮命令系統も整理されていないので、トラブルは避けられません。

 

 経営者として人を束ねる立場なればこそ、己を知り己を見つめることから逃げてはいけないのではないかとつくづく思います。
 それは、コンサルタントも同じです。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

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